マーチャンダイジングの戦略の重要性は各業種で高まっています。スポーツ・ビジネスでも同じです。商品の企画に始まり、試合開催時などのリアルの店舗の運営、またウェブの店舗の運営など、マーチャンダイジングが関わる内容は多岐にわたっています。
そもそもファン・サポーターがスタジアムに到着した時、試合が始まるまでの時間はスタグルやグッズ売り場に足を止めるという観客が多いのです。売店やグッズは観客とチームとの最初のタッチポイントになります。
またグッズはオンライン・ショップで販売が可能で、スタジアムに足を運ばないファンとチームとの接点としても機能することできることが、コロナ禍の状況で確認されています。 商品を企画し、適切な商品を、適切な場所、タイミングで売り出すことが、スポーツ・クラブのマーチャンダイジングとして求められるようになっています。
サッカークラブの清水エスパルスはアメリカでの実績があるファナティクスの日本法人と業務提携を行い、マーチャンダイジングを委託することを行なっています。それとともに『ホットマーケット』を重視したり、売り場を整えたり、カジュアルなグッズの販売に取り組むような新たな取り組みを清水でははじめています。
ファナティクスはマンチェスター・ユナイテッドやPSGなど世界300の野球やサッカーのチームの物販に関わっており、日本でもプロ野球のソフトバンクなどとの提携を行なっているといいます。
ファナティクスとの提携で清水は、商品企画のスピード化、商品を提供する場(グッズショップ)の集約、展示ブースの改革などを行なっています。 なお『ホットマーケット』とは結果が決まってから48時間以内の時間を指し、その時間帯に顧客の購買意欲が高まることを指すようです。その日にしか買えないグッズを試合の終了後すぐに販売する手法のように考えられます。このようにマーチャンダイジングの革新が、サッカー・クラブでも進められています。
またコロナ禍においてはグッズ販売は大きな打撃を受けましたが、それでもグッズ販売で収益を上げ続けているクラブもあります。横浜FMはコロナ禍でスタジアム店舗での販売ができないなどの制限がある中で、工夫を行い、新たな基軸をつくりはじめています。
緊急事態宣言下ではオンライン・ツールであるZoomでのトークショーを有料で行うようなネット放送の有料イベントが積極的に行われました。 またスタジアムでしか手に入らないガチャガチャや応援グッズは販売ができないので、コロナ禍での巣篭もり需要を見越して、実際に家庭で使う日用雑貨やアパレル商品のチーム・グッズの販売を展開し、収益を上げることに成功しました。
これらのオンライン・イベントなどとのタイアップや生活雑貨などへの商品の拡大は、一つの可能性として今後につながると考えられます。
Jリーグは将来ビジョンにおいて分配金の配分を変更するなどの新たな指針を策定しています。均等配分の変化も示唆されています。今後は経営に変化が起こる可能性があります。
グッズ販売においては黒字のクラブがほとんどでありますが、利益を積み増すか、現状を維持するか、戦略が必要かもしれません。
またグッズは観戦や応援に必要なものであり観客動員にもリンクしているので、今後に各クラブのマーチャンダイジングの工夫は問われていくと考えられます。 Jリーグは各チームのコンテンツ力を高めることを求めています。そのためにも、各チームのコンテンツ力を高めるために、グッズ面からの貢献も大切になるだろうと考えられます。