東京Vを応援しています ー戦術・経営・移籍などー

東京Vとユベントスを応援しています、ほかのJリーグ、海外サッカーについても書く予定です

東京Vはマンチェスター・シティか?、アヤックスか?

明日は町田との大一番ということで盛り上がっているのに、こういうことを書くのはどうかとも躊躇われたのだが、勝っても、負けても、どちらにせよ気持ちをゾーンに入れ続けて、終わった後から、また冷静に戦ってほしいという思いからここにこの記事を置いておく。

 

5月23日にJリーグから各チームの人件費のプレス・リリースがあった。

 

 

ゲキサカの報道を見るが、東京Vの人件費は4億9000万円、全体の30位だった。

 

昨シーズンにJ1昇格をプレーオフで狙った熊本は3億100万円、全体の41位だったから、夢を捨ててはいけない。ただ東京のFC東京、町田の2クラブと比較すると、FC東京が25億3800万円、FC町田ゼルビアが7億4400万円、アカデミーの経費などを計上すると変わってくるが、東京Vは単純に人件費の経営規模としては東京で3番目のクラブになる。

 

刺激的なことを書いているがちゃんと読んでほしいと断っておく。サッカー・クラブというものには同一都市に本拠地を置くライバルチームというものがあって、横浜には2つ(神奈川だと別)、大阪には最近は3つ、静岡には(県だが)4つあって、それぞれが活動をしている。

 

海外でもロンドンには複数のクラブ(アーセナルチェルシートットナムクリスタルパレスなど)があって、バルセロナバルサエスパニョール)にも、マンチェスター(ユナイテッド、シティ)にも、リバプールリバプールエバートン)にも、複数のクラブが存在している。そしてその中でも序列がある。

 

クラブの強さの序列もあれば、クラブの愛への序列がある。また応援する層にも違いがある(グラスゴーセルティック、レンジャースや、アルゼンチンのボカとリバー・プレートなど)。

 

マンチェスター・シティは元々、弱いチームだった(失礼)。ただチームへの愛や、ファンの熱狂度ではイングランドでも屈指のクラブだったと聞く。だが元々はマンチェスターUの数々の栄光の影に隠れたクラブだった。それを海外の富豪が買い取り、資金を投下し、数々の名将を招聘して、今のような強いクラブに仕立て上げた。

 

東京Vの未来を考えた時、想うのだ、このクラブは大きな資本を待っているのだろうか、と。本当にそのような未来を考えていたのだったなら、ゼビオが既に楽天や、サイバー・エージェントのような企業にクラブを委ねていたはずだ。

 

しかし読売からの伝統を持つクラブは売られなかった。ゼビオが引き継ぎ、なぜか売られなかったのだ。

 

去年の各クラブの人件費を見ていると、人件費が増加しているクラブもあれば、減少したクラブもある。横浜FMが8億7400万円のプラス、広島が6億1000万円のプラス、京都が6億9700万円のプラス、それぞれ、東京Vの人件費分を超える増資をしていることになる。

 

一方で減っているチームもある。川崎Fが4億1300万円、C大阪が4億300万円、徳島が4億1800万円、大宮に至っては半減程度の5億100万円がカットされている。これも東京Vの人件費に近い減少で、サッカー・クラブの経営が難しいことを示している。

 

自分はこれらの数字を見て、東京Vの立場に立って、人件費で競るのか?、と、町田のように増加曲線を描いてJ1に入っていくのか?、と問いたい。マンチェスター・シティは素晴らしいクラブで、ファンからとても愛されているチームだ。このように「チームが愛されているから支援者が現れる」そういうタイプのクラブもあるが、それとは微妙に違って、スポンサーの力で昇格したいのか、聞いておきたい気がする。

 

人件費から言えば町田は1.5倍程度の人件費の規模、FC東京に至っては5倍の規模の予算を誇っている。これはスポンサーや、J1での分配金もあるのだろうが、これらのクラブと同じ東京という地域で戦う時に、資金で勝ってやる、そう挑むべきかどうかと思うのだ。

 

ゼビオはそういうことを考えていないし、サポーターにも、昔はともかく、今のところは強烈補強を望む声はあまりないのではないのだろうか。よく赤字財政のクラブとして東京Vは出てくるし、節制して戦っているのだと思う。

 

時々だが、「クラブ・フィロソフィー」、クラブ哲学を持ったクラブが存在することがある。アヤックスなど、ユースの選手を引き上げつつ、かつての名選手のベテランと組み合わせ、クラブの戦術で勝っていくクラブだ。

 

東京ヴェルディの育成は素晴らしい、一本筋が通った育成だと思う。この育成でクラブを作っていくべきではないのかと問いたい。他チームの育成が、例えばFC東京横浜FMが東京Vに劣るとは言わないが、これらのチームに比肩しうるユースを東京Vは持っているのではないだろうか。

 

ヨーロッパのビッグ・クラブにはセカンドチームを持っているチームが多く、僕の好きなユベントスにもnext Genというチームがあり、バルサにもBチームが、アヤックスにもBチームがある。こういう贅沢は日本ではなかなかできず、J3のサブチームもコロナで縮小されてしまったが、若い選手を育成する(もちろんそして売ることを目指しているわけなのだが)という姿勢を持つチームは多く存在している。こういうチームには育成のメソッドがあり、綺羅星のような若手が出てくる。

 

資本も、育成も、どちらも両方の選択肢を取れればいいのだが、お金で選手を集めるチームと、育成叩き上げで構成するチームと、微妙にチームカラーは分かれやすい。

 

自分は答えを提示しない。今のマンチェスター・シティはクラブの哲学もしっかりしたクラブだが、まあ町田のような、かな、金で「選手を集めて強くする」(とする、違うのかもしれんけど)チームを作りたいのならその道を選ぶのもいいのかもしれない。ただこれまでのように育成と戦術で戦うのなら、今は同じ土俵に乗る必要はないのではないかと思っている。比較しないで、冷静に、今回の結果が勝ちであろうと、負けであろうと、育成で結果がでているのだから、淡々と町田とは違うチームなのだ、と、別の道を歩けばいいのではないかと思うのだ。

無闇に熱くなって戦わないで、豊かに、楽しむ姿勢もいるのではと思うのだ。

 

クラブにはファンが必要だ。今回のようなストーリー、盛り上げるためのこういう仕掛けがあるのならそれはそれでいいとは思う。噛ませ犬にされるのか、それとも柔よく剛を制すか、わからんけど、一つのドラマとしてそれはいい、ただ自分は参加しない、その次に続くクラブの未来を楽しみに見たいし、そのためには「町田に勝つ」よりも、「上位クラブに簡単に抜かれない」ことの方を大事だとする、だからこの1週間より、窓が開いている間のフロントの戦いの方を応援したい。

 

明日の試合が楽しみでないかといえば嘘になる。ただ自分は城福監督の手綱捌きを信じ、その後のことを見てみたいと思っている。アヤックス好きだし、ああいう個性のあるクラブになってほしいな、シティも好きだけれど…。

 

もちろん自分がサポーターとされなくても、東京Vというチームが大好きだ。