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バルサの0トップ(2018年に京都に書き、のちヴェルディに送ったもの 1)

 (京都と)松本戦見させていただきました。後半はよくも見えたのですが、実際は相手が引いてきてパスが回るようになり、相手のDFの堅さに最後にはやられたかな、という印象を持っています。
 
 解説の誰かが、「縦パスを入れて」、ということはかなりおっしゃっていましたが、確かに一本縦パスが入れば面白かったかな、とは思いました。
 
 京都は守りも課題がありますが、攻めにも課題があります。横からクロスのボールを入れようという意識は高いのですが、侵入路が横からの攻め一本になっていて、真ん中の堅い守りにヒビを入れられていない。中央からの攻めも必要ではないのかな、そう思いました。そして中央をこじ開けるには縦パスなのかな、とも思いましたが、また別のことも考えました。それが、中央のFW3人、もしくは2人の連携です。
 
 京都の攻めはまずサイドの開いた選手にロングパスを通すか、中央のロペスにロングボールを当てるパターンになっています。しかしロペスはボールキープ型のFWではないし、他の2枚のFWの動きはバレバレで、ロングボールからのほとんどのボールを攻撃の第一歩で失ってしまっている。ボールを奪っても、ロングボールを蹴り、そのあとの最初の攻撃に奪われてしまうのですから、相手にとって怖くないでしょう、ロングボールをロペスに当てるのは減らしませんか。
 
 重ねて言いますが、中央の3枚のFW、2枚のFWの連携が必要では。サイドから入ってくるボールにミートするにも、一人の選手にピンポイントで当てるよりも、クロスの入ってくるクロスの通るラインに複数の選手がスプリントして飛び込んでいく方が有効です。つまり真ん中を開けておき、誰もいないスペースへ飛び込んで、クロスに合わせていくわけです。
 
 バルサはこのゼロトップを得意としていますが、よくよく見てみると、本当は「ゼロ」トップではありません。一人中央に残っている選手がいます。ウルグアイの英雄、スアレスが今はそのポジションを勤めていますが、マンCのグアルディオラのシステムではアグエロがそのポジションを勤めており、中央取り残されたような一人の選手がDFに取り囲まれて残っているのを見ることができます。
 
 このゼロではないワントップの役割は、相手のDFラインのオフサイドの動きを操作することにあります。また裏抜けして1対1をすることにあり、ボールを中央で散らすポストの役割を果たすこともあります。
 
 バルサの生み出したこのシステムの曲者なのは、ワントップが入れ替わるということです。だから読ませてもらえない。バイタルに入っているのは1トップのみなのに、はっと気がつけば、後方からのパスにサイドからウィンガー(メッシ、イニエスタなど)が飛び出して来ていて、深くえぐられた位置からその折り返しのクロスに複数人数に飛び込んで得点をいられていた、ということがよくあります。
 
 単純に言えば、1トップと2シャドーはポジションを入れ替えることがあります。また2トップ、1トップ下にフォーメーションが変形することがある。中央の3枚は距離感を保ちつつパス交換をしたり、ポジションを入れ替えていきます。
 
 はじめ、バルサの後方のボランチは、何気ないパスを2シャドーや1トップ下へ入れます。この動きの中で、相手のオフサイドラインがよくトラップを仕掛けてきますが、一人が囮になり、引っかかったふりをします。オフサイドエリアから、戻っていきます。
 
 続いてシャドーなどのボールホルダーはマークをはがしてサイドへ振るか、ボランチに戻したあとボランチから他のシャドーかワントップにボールを入れなおさせます。このパスによる振り回し、ポジションのチェンジの連続に、相手の中央のDFはついてこれないことが多いのです。1トップも、2シャドーもポジションを入れ替えるわけですから、ついていくのか、ゾーンを守るのか瞬間の判断を迫られます。そしてその間にバルセロナは選手の位置を入れ替えたりするのです。
 
 今のバルサのシステムがわかりにくいのでマンCでアグエロ、デ・ブライネ、シセ?ですか?と対比して説明すると、彼らは左右のウィング①②としてサイドからクロスを上げる動きもし、ワントップ③としてオフサイドラインと駆け引きをし、そしてシャドーとして背後からエリアに侵入④⑤したり、5つポジションの役割を入れ替えて攻撃するわけです。ポジションを変えても普通にプレーできる選手だけが、これらのチームではプレーできるわけです。
 
 対面のマークを決めているのならば、マークがついていけません。トータルフットボールのオランダに西ドイツが対応したように、ある程度、徹底したマンマークにこだわり、ポジションを変えて対応しましたが、対面のマークの相手がポジションをくるくる変えていくわけですから、混乱が起こることになります。
 
 バルサはバイタルを1トップ、2シャドーでかき回し、サイドをウィングとSBでえぐり取ってしまう。そしてサイドからエリアに侵入し、後ろから数多くの選手が入り込んだり、スペースをドリブルで蹴散らして、得点を取っていくわけです。
 
 さてこれを京都に引き付けて考えます。
 
 ぼくはまず浮き球を蹴ったあと、ポストが回収できなかった場合、強くプレスをかけることは必須だと思います。また浮き球ではなく、1ポスト(ロペスもしくは2シャドーのポジションチェンジなど)の足元にボールをつけるパスをもっと増やすべきではないかと思います。そうすればボールがポストに一旦収まって、ボールを失うのが、攻撃の第1段階ではなく、第2、第3段階に下がり、もっと相手を押し込めるのではないかと思うのです。ラインや選手を押し上げる時間を作れるから。
 
ラグビーのキッカーのように、ボールのあるポジションを上げたいのにしても、もう少し何とかならないでしょうか?まあ、これは課題とします。
 
 次にボランチと2シャドー、もしくはボランチとトップ下でパスをバイタル前で交換し、それからバイタルに侵入し、相手の陣形を崩してからサイドへ振ることが大事だと思います。
 
 バイタルでパス交換て、前にかかっているときには、中央で奪われることとなり、後ろが怖いですよね、ど真ん中で奪われるわけですから。だから最初はワントップにして背後に置き去りにされる人数を少なくし、ワンタッチでプレーさせる。ワントップには裏抜けも混ぜさせて、相手のDFラインを揺さぶる。リターンを前を向いた2シャドーが受けてからサイドへ振るようにすれば、リスクを減らし、攻撃は迫力を増すと思います。
 
 最後に点の取り方ですが、先に書いたようにあらかじめエリア内にデンと入っている選手(動いてない選手)にミートするのではなく、誰もいないスペースに飛び込ませる、動きのある方法も試して欲しいと思います。
 
 がんばってほしいと思います。あまり役に立ちませんが、参考までに。
 
 では。