東京Vを応援しています ー戦術・経営・移籍などー

東京Vとユベントスを応援しています、ほかのJリーグ、海外サッカーについても書く予定です

立地論から考えるサッカー・クラブの戦略(3)(了)

他に立地として注目できる点には交通発生源というものがあります。

 

交通発生源はTGとも略されます。トラフィック・ジェネレーションの略になります。交通発生源とは、人々がそこに集中し、そこを中心に広がっていく場所であり、あたかもそこから人が生まれるように見える場所といわれます。交通発生源は人を集める求心力となるため、ウェブでも、実際のスタジアムへの呼び込みの戦略でも有効な手段となるでしょう。

立地のいい場所、人が集積し、クラスター化(周りの企業・支援とマッチしてイノベーションが生まれやすい状態)した場所が交通発生源とも言えるでしょうか。このような交通発生源、クラブのファンになってくれやすい層、場所、サイトを見つけることが、ファン層を拡大する有効な手段となるはずです。

その交通発生源を確認し、そこから動線を読むか、もしくは導線を作ることが必要です。なお「動線」とはそこからの人の動くルートであり、「導線」とはそこから人を誘導するルートのことです。

 

ウェブの立地としての交通発生源はトップページであることもあります。多くの企業がトップページを飾り、綺麗に装飾し、イメージを上げようとしています。 しかし検索やリンクの影響などで、サッカー・クラブのサイトのランディング・ページになるページはトップページとは別のこともあります。

その場合はデーターを分析して、実際に交通や接点が生じている場所で、観客へのアプローチを行うべきなのです。 ニュース・リリースであったり、試合の会見であったり、検索の順位が高いページが多く閲覧される場合があります。

これらのうち交通発生源となっているページ、閲覧者がグッズを購読す確率の高いページ、チケットサイトへ移動する確率の高いページなどを選別し、そこを強化するべきではないでしょうか。ウェブの専門家では、これらのファンになりやすいページにリコメンド(関連したページをおすすめする機能)のリンクを張ることを勧めているようです。

 

またウェブでの有効な交通発生源としてSNS、広報の情報などが考えられます。Twitterinstagramのフォロワーは有効な交通発生源です。 これらのページは、誰かが見に来たら、あとから顧客になる可能性が高く、特に何度も見にくる顧客はファンになりやすいのです。例えばインタビューや、YouTubeのページ、連載コラムなどのページを見た顧客が、フォロー、チャンネル登録、リンクに飛んでくれれば、それは交通発生源となることが多いです。

これらの交通発生源は、総合型クラブとしての東京Vの他のクラブ・チーム(野球、ホッケーなど)のページやTwitterアカウントなどでも有効な交通発生源として起こりうるでしょう。これらの交通発生源を有効に相互にリンクさせることが大事でしょう。

 

交通発生源をリンクさせるためには、実際の都市(東京・神奈川という地域全体と捉えてもいい)や、スタジアムでは、ケビン・リンチの都市イメージ論のように、さまざまな要素を組み合わせ、交通発生源を増幅させる戦略も考えられます。

リンチの都市イメージ論とは、各都市の存在物をエレメント(要素)とし、それを分類し、都市にアイデンティティや意味を与え、イメージを作る仕掛けのことです。これは描く人の各イメージによって仕掛けが異なり、交通発生源を増加させたり、情報の接点を増やすことができる可能性があります。詳述はしませんが、各エレメントへの導線を有効に構成することで、各エレメントの持つ情報を拡大することもできるのではないでしょうか。

 

このようにウェブでも、リアルでも、立地論を利用したり、交通発生源・都市のイメージ論から導線を考えて、立地からの戦略で顧客を創出することができるのではないでしょうか。ウェブでも、リアルでも、今後このような立地の分析を踏まえた上でのサッカー・クラブの運営が重要になっていくのではないかと思います。

 

交通発生源
交通発生源とマーケティング
リンチの都市論